総合病院で1年勤務したあと、すぐ結婚・妊娠・出産で5年と少しのブランクがあり、再就職を考えています。
臨床経験も浅く、採血をはじめ、看護がちゃんとできるか不安です。
どんな看護技術を練習・復習をしておけばいいでしょうか?教えてください。
長いブランクがあると、臨床に復帰する際に看護技術ができるかどうか、とても不安ですよね。
そこで本記事では、ブランクあり看護師が、臨床復帰のときに練習や復習をしておきたい9つの看護技術についてお話しします。
本記事を読めば、ブランクあり看護師が身につけておきたい9つの技術がわかるとともに、押さえておきたいポイントを知ることができます。
現在、精神科で看護師長のじゃっきーです。
しかし、今から10年前は、ブランク10年あり看護師でした。
本記事は私の経験を元に詳しくお話ししますね。
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ブランクあり看護師が、臨床復帰のときに練習や復習をしておきたい9つの看護技術
9つの技術はこちらです。
採血
採血は、どこの病院や施設でも行われる一般的な看護技術。
それゆえに、しっかりとした知識と技術が必要になります。
ブランクあり看護師の採血のスキルアップは、知識・手順と必要物品を確認したら、あとは練習あるのみです。
怖がらずに、どんどん採血をさせてもらいましょう。
現場で、「採血をほとんどしたことがない」と、上司や先輩にアピールしておけば、どんどん採血を任せてもらえます。
私が勤める病院であれば、患者さんの採血のほか、職員健診の採血も現場の看護師が採り合うので、そこでも採血の練習ができます。
採血は経験値を積んで、自分でコツをつかむしかありません。
参考書を1冊買って技術の基本を頭にインプットし、YouTubeの動画で全体の雰囲気をつかんだなら、あとは実践です。
臆せずに取り組みましょう。
翼状針を使えば、血管と針の距離が近くて、採血がしやすく失敗しにくいです。
高齢者の血管は、硬いしコロコロと逃げるので、もっぱら翼状針ですね。
<おすすめの参考書>
点滴や採血の手技・手順「看護がみえる vol.2 臨床看護技術」
個人で練習するなら「採血練習用のキット」でOK
個人で練習がしたい方にオススメは、採血練習用のキットです。
少し自信がつくまで、キットを使って採血の特訓をするのも良いでしょう。
他にも静脈内注射、留置針トレーニングも可能です。
輸液管理(静脈留置針の留置)
輸液管理における「静脈留置針の留置」も病棟では重要な看護技術です。
スキルをアップさせていく方法では、採血とやり方は同じです。
まずは、輸液管理に関する正しい知識・手順、必要物品を確認しましょう。
確認ができたら、あとはひたすら実践です。
自分がイケると思う血管を探そう
採血でも同じことが言えるのですが、重要ポイントは、自分がイケそうと思う血管を探すこと。
良い血管は、目に見えて、まっすぐで太くて柔らかいものです。
しかし、看護師が相手にする血管は、高齢者の血管が大半。
手こずる血管が多く、目に見えず、曲がっていて細くて硬いものが一般的です。
良い血管が発見できれば、7割は成功したも同然でしょう。
血管をゆるませずに留置しよう
次に、留置針を刺したあと、逆血を確認したら、血管をまっすぐに伸ばしたまま、外菅の静脈留置カテーテル(以下:外筒)をスッと入れるのがポイント。
血管がゆるむと、外筒が血管をやぶってしまったり、うまく留置できない場合があります。
また、留置針の外筒を、刺したそのままの手を使って、片手だけで入れるのか、
針を入れた手と違う手を使って入れるのかは、本人の好みですね。
輸液の管理も、参考書を1冊買って、技術の知識・手順、必要物品を確認することをオススメします。
絵や写真を多用して、針を刺す角度、静脈の種類やリスクのある行為など、正しい知識と細かな手技が学べるからです。
その上で、実践まえに、YouTube動画で全体の雰囲気をつかみましょう。
「サーフロー 留置 コツ」と検索すれば、たくさん動画が見られますよ。
事前準備が終われば、あとは実践で経験を積み上げましょう。
<おすすめの参考書>
点滴や採血の手技・手順「看護がみえる vol.2 臨床看護技術」
輸液管理(滴下の調整)
点滴・輸液の管理では、
- ミキシングが必要か?
- 輸液ポンプを使用するか?
- 時間何mlで落とすか?
- 側管があるのか?
- 三方活栓を使うのか?
- 遮光袋が必要か?
など、輸液の管理だけでも、注意しなければならないことがたくさんあります。
私もブランクを埋めるまでは、参考書を1冊買って忠実に取り組みました。
必ず正しい知識を修得するようにしましょう。
点滴の滴下を調整するコツ
輸液ポンプを使用しない場合を想定します。
点滴の滴下数は、超カンタンな公式を頭にインプットしておけば大丈夫です。
ひと目でわかる!超カンタン計算式はこちら
1分間の滴下数=「1時間の輸液量(ml)×輸液セットの1mlあたりの滴下数」÷60分
小児用の輸液セットであれば、1mlあたりの滴下数が60滴なので、公式に当てはめると、
1分間の滴下数=1時間の輸液量(ml)
になりますよね。
成人用の輸液セットは、1mlあたりの滴下数が20滴なので、公式に当てはめると、
1分間の滴下数=1時間の輸液量(ml)÷3
となります。
便利なのでしっかりと覚えておきましょう。
オススメの参考書にも、スッキリわかるように記載されています。
輸液管理の実例を紹介
滴下数の公式をインプットしたなら、あとはコツをつかんで管理していけばOKです。
たとえば、点滴500mlを5時間で滴下したいケースでは、500÷5で、1時間に100mlを落とすことになります。
小児用の輸液セットを用いると、1分間の滴下数=1時間の輸液量(ml)なので、1分間に100滴を滴下すれば良いわけです。
つまり、1秒間に計算すると、およそ1.6滴(100滴÷60秒=5滴/3秒)のスピードで滴下する必要があります。
成人用の輸液セット(グリーン)を使う場合は、1分間の滴下数=1時間の輸液量(ml)÷3なので、100滴÷3=約33滴。
1分間に約33滴を滴下すれば良いわけです。
つまり、約1.1滴/2秒で滴下することになりますね。
<おすすめの参考書>
点滴や採血の手技・手順「看護がみえる vol.2 臨床看護技術」
膀胱留置カテーテル
療養病棟や介護施設では、長期に入院を必要とする高齢の患者さんがたくさんいます。
排尿困難や尿閉による尿量の管理、鼠径部CV(中心静脈)の清潔保持、水分管理などに膀胱留置カテーテルをすることが多いです。
病棟や介護施設で働くのなら、排泄の管理技術として、しっかりと学んでおく必要があります。
特に、膀胱留置カテーテルは、無菌操作を求められるので、正しい知識と手順を事前にインプットしておきましょう。
また陰部や排泄物を他人にさらすという、患者さんの羞恥心にも配慮しておく、という気持ちを忘れてはいけません。
留置後の管理も大切
膀胱留置カテーテルは、挿入後の管理も大切です。
- 感染兆候
- 挿入部の清潔保持
- 尿量や性状
- 閉塞の有無
- カテーテル交換の頻度
といったポイントに気をつけて看護していく必要があります。
当院のような療養病棟では、半数以上の患者さんが膀胱留置カテーテルを使用していることもあるので、不可欠なスキルです。
吸引
療養病棟や介護施設の必須スキルとして、吸引があげれます。
吸引の種類には、口腔吸引や鼻腔吸引、気管吸引があります。
療養病棟でよく行う吸引は、鼻腔吸引と口腔吸引です。
気道内に貯留する痰による窒息や、呼吸機能の低下を防止するために実施するのですが、非常に侵襲性があります。
SpO2の低下や、呼吸の様子など、患者さんの状態を見ながら、細心の注意をはらって行うことが重要です。
鼻腔・口腔からの気管への吸引には要注意
当院でもそうなのですが、咽頭ゴロ音があるからといって、安易に鼻腔・口腔から気管への吸引が行われています。
実際に、「肺炎から痰が増えて窒息した、窒息しかかった」という事例をこれまでに何度も経験しました。
とっさに鼻腔から気管までの吸引を行って、一命を取り留めたこともあります。
看護師として、窒息を防ぐために、過敏になって気管への吸引をしてしまう気持ちは、すごくわかるような気がするのも事実です。
しかし、参考書などでは鼻腔・口腔から気管までの挿入は禁止と書かれています。
カテーテルの気管までの挿入は、手技がむずかしく、感染のリスクも高いからです。
SpO2の低下や、呼吸の状態から、「ただちに吸引して窒息を防がないと」という場面も、もちろんあります。
しかし、必ずしも危機的なケースではなく、咽頭に貯痰があっただけで、気管までの吸引をしているものも少なくないのです。
現場に正しい知識をおろして、安易な吸引による患者さんへの苦痛や感染のリスクを軽減していくことが重要です。
<おすすめの参考書>
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経腸栄養
経腸栄養は、療養病棟や介護施設において、栄養管理を行う上で大事な技術になってきます。
経口摂取ができない患者さんに実施することになります。
高齢で認知症のある患者さんは、嚥下機能が低下してくるので、最終的には経腸栄養をする方が多いです。
経腸栄養のほかに、中心静脈から高カロリー輸液を入れる「中心静脈栄養」があります。
しかし、消化管から栄養を吸収できる経腸栄養が第一の選択になります。
栄養状態の悪化は、病気の悪化や、合併症につながるため、適切な栄養補充法を選択し、健康を維持することが重要です。
経鼻経管栄養と胃瘻栄養の2種類に関する、特徴と注入の手技について、ポイントを押さえておきましょう。
フィジカルアセスメント
看護をする上で、もっとも基本的なスキルと言えます。
バイタルサインの測定、呼吸音・心音・腹部・瞳孔といった、体のあらゆる部分の正確なアセスメント方法を、学習しておくと安心です。
患者さんの訴えから、自分たちが正しいアセスメントをすることによって、患者さんへ的確に安全・安楽な看護ケアにつなげることができます。
フィジカルアセスメント能力を磨いていくには、参考書やオンライン研修で自己学習し、病棟にて実践する。
この作業を繰り返して、自分の中に経験を積み上げていく方法が最善です。
フィジカルアセスメントを勉強すると、患者さんの状態を細かく言葉を使って表現できるようになります。
カルテの記載もグッと深みが増しますよ。
<おすすめの参考書>
フィジカルアセスメント「看護がみえる vol.3 フィジカルアセスメント」
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オムツ交換
療養病棟や介護施設で働くなら、排泄介助であるオムツ交換は、高頻度で用いる看護技術です。
毎日のスケジュールの中に入っているので、技術を高めておいて損はありません。
現場にて、オムツから尿もれや便もれがあると、
患者さんの衣類をすべて更衣することになったり、リネンを一式交換しなければならなくなったり、技術が甘ければ、その被害は甚大です。
オムツ交換のポイントは、オムツの内側にあるギャザーをしっかりと立ててお尻にフィットさせておくこと。
ギャザーが立っていなくて、堰き止めの役割をはたさずに、尿や便がオムツから流れでる状況はたくさんあります。
また、「成人した人(患者さん)がオムツをつけるというのは、どんな気持ちなのか?」、自分たちも実際にオムツをつけて体験したりすることもありますよ。
血糖管理
高齢の患者さんだと、糖尿病を患っている方も多いです。
糖尿病があると様々な合併症を引き起こすうえに、褥瘡などのキズも治りにくく、やっかいです。
「血糖測定方法」と「インスリン注射の仕方」を復習しておくと良いでしょう。
低血糖症状は、インスリンや薬物療法中に最もよくみられる合併症なので、しっかりと学習しておきましょうね。
まとめ「採血は実践で上達!看護師長が教えるブランクあり看護師が練習しておきたい看護技術9選」
本記事では、ブランクあり看護師が、臨床復帰のときに練習や復習をしておきたい9つの看護技術についてお話しました。
ブランクあり看護師が身につけておきたい9つの技術と、押さえておきたいポイントをしっかりと練習・復習すれば、不安が軽くなることは間違いなしです。
本日紹介したスキルができれば、療養病棟や介護施設では立派な看護師さんですよ。
ブランクがあれば、誰でも不安になります。
焦らず少しずつ勘を取り戻しながら、さらにスキルアップしていきましょうね。
ではまた。
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