

私たち看護師の心からの叫びですよね。
介護職はちょくちょく給料アップが実現されているにも関わらず、

そんな声が聞こえてきそうです。
そこで本記事では、給料を上げてほしいと願うママナースへ「給料をアップさせる方法」を伝授します。
本記事を読めば、給料をアップさせる具体的な方法がわかりパッと実行できます。
2023年現在の看護師給料の賃上げ情報や、看護師の給料はなぜ上がりにくいのか?
についても解説・考察していますので、ぜひご覧ください。
「割に合わない」を吹き飛ばす!ママナースの給料を上げる解決方法
他の職業で仕事をするよりも給料が高く、いつでもどこでも働ける看護師に魅力があると思っているママナースが多いのも事実です。そこで、
2つの方向から解決方法を紹介します。
<手当を増やす方法>
給料にさらなる手当を増やす方法を2つ紹介します。
夜勤をする・夜勤回数を増やす
「看護師の給料が高い理由」の大きな役割を占めているのが、夜勤手当です。
1回の夜勤手当は、3交替制の準夜勤で4,000円前後、深夜勤で5,000円前後。
2交替制の場合、夜勤が11,000円前後となっています。
- 日勤常勤で働いているのであれば、常勤(夜勤あり・フルタイム)へ変更する
- 夜勤あり常勤で働いているのであれば、夜勤回数を増やす
を考えましょう。
ただし、日勤常勤やパートで働くのに比べて、子育て中のママナースが夜勤をするのは、ハードルが高いです。
- パートナーや両親の支援、病院に保育施設があるなど、サポート体制が万全であること
- 子どもが小学生に上がり、生活リズムに余裕が出てきた
といったタイミングが非常に重要です。
夜勤手当のために、無理に行動することは避けてくださいね。

忘れがちになりますが、看護師の常勤業務は看護の仕事だけではありません。
一般業務に加え、「新人教育、委員会や係活動、勉強会・研修、看護研究」と多忙を極めます。
無理な働き方はパートナーや親に影響したり、子どもへ負担が伝わってしまう可能性が高いです。
参考資料:看護師の夜勤手当の相場平均はこれくらい!みんなこんなにもらってるの…?
専門・認定看護師の資格を取得する
専門看護師や認定看護師の資格を取得して、資格手当を増やす方法もあります。
しかし、結論を言うと、ママナースにこの方法はオススメしません。
なぜなら、日本看護協会が調査した専門看護師と認定看護師の処遇によれば、資格取得が処遇に結びついていないと回答した者がなんと8割以上を超えていたからです。

ウソでしょ?と絶句ですよ。
資格手当は、すべての医療機関で支給されているわけではなく、なんと専門看護師・認定看護師の過半数が「資格手当がない」と回答しています。
また、支給されている看護師自体が少ないにもかかわらず、支給額についても「不満」「やや不満」と回答した者を合わせると70%に達していました。

まさに時間をかけ、努力して取得した資格でも「仕事に対して給料が割に合わない」を体現していると言えるでしょう。
ちなみに、数少ない「毎月資格手当がもらえる医療機関」でも、専門看護師は 11,279円、認定看護師では 8,530円と、私でも夜勤を1回増やせば吹き飛んでしまうような手当です。
もらえるかどうかもわからない薄給の手当で重い責任を負うわけですから、ほんと割に合いません。
将来の看護の発展に重要で大切な高難易度資格ですが、「かける時間と努力に対して、給料が割に合わない資格」といっても過言ではなく、ママナースにはオススメしません。
「志の高い看護師の名誉職?」とも言えるのではないでしょうか。
もっと厚遇されないと、専門分野で活躍する看護師の元気が出ないよ〜。
参考資料:日本看護協会「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書
「専門看護師」と「認定看護師」とは
<専門看護師>
専門看護師とは、ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有することを認められた看護
師をいう。
看護師として 5 年以上の実践経験を持ち、看護系の大学院修士課程を修了し、看護系大学協議会が定める所定の単位を取得した後に、 日本看護協会が行う専門看護師認定審査に合格することで取得できる資格。
<認定看護師>
認定看護師とは、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することを認められた看護
師をいう。
看護師として 5年以上の実践経験を持ち、日本看護協会が定める 600時間以上の認定看護師教育を修め、認定看護師認定審査に合格することで取得できる資格。
<基本給からアップさせる方法>
「基本給をアップさせる方法」を4つ紹介します。
パートから常勤になる
働き方をパートから常勤にすることで、給料をアップさせることが可能です。
常勤と言っても、
- 常勤(夜勤あり・フルタイム)
- 日勤常勤
の2つがあります。
常勤(夜勤あり・フルタイム)へのチャレンジは、現在の家庭状況によって難易度が上下しますが、周囲のサポートがあればパートからの変更も可能です。
また、日勤常勤であれば、子どもが小さい内は時短勤務や夜勤免除、残業の免除などの制度をうまく活用するのがオススメです。

日勤常勤は、「夜勤あり常勤」よりも「夜勤手当がない、基本給が低くなる」というデメリットがありますが、生活リズムを一定に保ちながらパートよりも高い給料を得ることができます。
しかし、給料がアップする反面、
「5日勤、委員会・係あり、勉強会・研修への参加、看護研究あり」
といった業務量のアップも見込まれます。
自分が常勤でやっていけるタイミングを見計らって挑戦しましょう。
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昇進を目指す
常勤になって、キャリアを積んで、
看護師主任 → 看護師長 → 看護部長
と昇進していくことで基本給をアップさせることができます。

と思う方が大半だと思います。
子育て・家事だけでも大変ですからね。
子どもが小さいうちは、普段の生活でも様々なトラブルが出てくるので、常勤で働く壁は高いと考える方も多いです。
しかし、もし昇進して給料アップを目指すなら、将来を見据えて早い段階で常勤にシフトも考えましょう。

「日勤常勤で子育て支援制度を活かして働く」といった方法もあります。
ただし、看護師は他職種に比べて、看護師人数のわりに圧倒的に昇進ポストが少ないのが難点なところ。
主任、師長となっていくのも運要素があります。
ちなみに日本看護協会の調査によると、
- 看護師長相当職の基本給月額は、平均370,949円(平均年齢54.0歳)
- 主任相当職の基本給月額は、平均327,143円(平均年齢50.1歳)
- スタッフ(非管理職)の基本給月額は、平均323,298(平均年齢53.0歳)
※各病院で最も高い割合で支給されている基本給の平均値(最高額の平均値)

看護師長にまでなると、およそ5万円の基本給差が出てきますが、主任とスタッフではおよそ4,000円の差です。
スタッフの夜勤回数によっては、主任とさほど給料差はないと考えられます。
主任は責任や仕事量が大幅に増えるのに、給料が割に合わないと感じてしまうかも。
参考資料:日本看護協会 2012 年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査 報告書
学歴をアップさせる
看護師も学歴によって給与に差があるのはご存知でしょうか?
結論を先に言うと、学歴が上がれば基本給のアップにつながるのですが、時間と労力がかかりすぎるため、ママナースにはオススメしません。
子育てが落ち着き、向上心がある方は存分に打ち込んでいただいたら良いという感じです。
私が実際に大学病院で勤務したとき、短大卒の同期がいたのですが、大卒の私が月収で3万円ほど高く、

え!学歴でこんなに違うの?
やってること一緒なのに?
と衝撃を受けました。
ちなみに2022年度実績「新卒看護師の初任給」を紹介すると、下記のとおりです。
- 高卒+3年過程卒 平均基本給203,276円、平均税込給与総額263,711円
- 大卒 平均基本給209,616円、平均税込給与総額271,730円
- 大学院卒 基本給220,700円(A大学病院:2023年4月予定)
※2023年11月8日現在
日本看護協会調査によると、
「高卒・3年過程卒」と「大卒」を比べると、月額でおよそ8,000円の差があります。
年間にすると、96,000円。
約10万円の年収差が出ます。

10万円という年収差が大きいのは間違いありませんよね。
大学院を修了していれば、大卒の基本給よりもさらに1万円プラスという医療機関もあります。
しかし、大学院卒に基本給を上乗せしている病院は、研究機関と連携した大病院ばかり。
一般病院で大学院卒を評価するところは極めて少ないと言えるでしょう。

私も大学院卒ですが、給料の上乗せは一切ありません。
けれども、小さな田舎にある病院なので、学歴と経歴から評価をしていただけたのかなと思っています。
スタッフ看護師をすっ飛ばして「看護師主任」からキャリアを再スタートできているのは、学歴のメリットでもあるかもしれないと感じています。
参考資料:日本看護協会調査研究報告 <No.99> 2023 2022 年 病院看護・助産実態調査 報告書
転職サイトで収入がアップする職場を探す
最も効率よく「基本給は元より、給料アップをさせる方法」は、転職サイトを活用して複数の病院や施設を比べながら自分にあった職場を探す方法です。
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また転職サイトは独自に非公開求人を保有していて、以前(今)の収入よりもアップする可能性を秘めています。
<職場探しで気をつけてほしいこと>
ただし、転職サイトで職場を探すときに注意してほしいのが、高給与ばかりに目を奪われすぎて、現在のベース(基本環境)を下回る職場を選んでしまわないことです。
たとえば、
- のんびりした働き方ができる慢性期看護が良いにもかかわらず、高給与にとらわれ急性期の多忙な職場になっていた
- 以前の病院には子どもがのびのびと遊べて、安く利用できる保育所が併設されていたが、高給与にとらわれ転職した結果、保育施設が併設されておらず、近くの保育所を利用するため逆に利用料がかさんだ
といった、以前は当たり前だった環境が他の病院や施設にも当然あるという意識を持って転職活動をするのは危険です。

自分が転職で絶対に外せない項目を事前にピックアップしておき、アドバイザーさんと相談しながら無理なく働けて給与アップにつながるように進めていきましょう。
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なぜ2つの転職サイトへの登録が良いかというと、1番転職成功率が高くなるからです。
下記の表をご覧ください。
<転職サイトの登録数と転職成功率>
転職サイト登録数 | 転職成功率 |
転職サイト利用なし | 56.2% |
転職サイト1社登録 | 63.7% |
転職サイト2社登録 | 69.8% |
転職サイト3社以上登録 | 56.5% |
(調査対象:転職経験のある看護師550人)
転職サイト利用なしと転職サイト2社登録の転職成功率を比較すると、13.6%も転職成功率に差があります!
反対に転職サイト3社以上に登録してしまうと、利用しない人と同等の転職成功率になるのです。
3社以上になると、転職サイトへの対応が大変になります。

電話やLINEの返事だけでくたくたでした。
その上、転職サイトからの紹介数も増えるため、逆に職場を選べなくなるんです。
これを「決定回避の法則」と言います。

人は選択肢が多すぎると、かえって決められないんですよね。
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リアルな看護師の平均月収と平均年収を調査完了
平均月収と平均年収を調査してきました。
勤続10 年・非管理職の看護師の給与(2022年度実績)
2023年版の「日本看護協会調査研究報告」による、
「勤続 10 年、31~32 歳、非管理職の看護師の給与」を元にお伝えします。
- 平均基本給与246,770円
- 平均税込給与総額(平均月収税込)324,446円
- 平均年収税込4,510,277円
(平均税込給与×12ヶ月+賞与:平均基本給与×2.5倍)
※年間の賞与は、給与の2.5倍が相場とされています。
※税込給与総額には、通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当、看護職員処遇改善等事業に基づく手当等を含む(時間外勤務の手当及び新型コロナウイルスに係る危険手当等は除く)
※夜勤をした場合には、当該の月に三交代で夜勤 8 回(二交代で夜勤 4 回)をしたものと想定

新卒から働いて、常勤10年目のママナースだと年収が450万円ほどになります。
※この金額から社会保険料や税金が差し引かれます。
参考資料:日本看護協会調査研究報告 <No.99> 2023 2022 年 病院看護・助産実態調査 報告書、
コメディカルドットコム:【看護師のボーナス大公開】都道府県ランキングや勤続年数での平均、モデルケースも
2023年に看護師の給料は上がっているのか?賃上げ情報を徹底リサーチ
「国が看護師の給料の賃上げを検討している?」

なんて噂をチラホラと耳にしませんか?
田舎の精神科病院で看護師主任として働く私にも聞こえてきて、敏感に反応しています。
「現状はどんな動きがなされているのか?」を調査してきました。
2023年医療機関における看護師の賃上げ状況
厚生労働省の依頼により、日本病院会などが、医療機関における賃上げの合同調査を実施していました。

私たち看護師に大々的な情報公開はありませんが、調査結果よれば粛々と賃上げは行われているようです。
賃上げ状況の集計結果
- 定期昇給のみ実施している病院は69.0%
- ベースアップを含む賃上げを実施している病院は23.3%
- 賃上げ未実施の病院7.7%
看護師の年間平均賃上げ額は5,370円で、平均賃上げ率は2.0%(平均賃上げ額5,370円÷平均月例賃金額274,716円)。

要するに、定期昇給か、定期昇給+ベースアップをした医療機関に勤める看護師は5,370円ほど給料がアップしているという話です。
全産業平均の「2.1%」に比べて低い水準にあって、7.7%は賃上げの予定がないという厳しい状況にあります。
「看護職員処遇改善評価料」について
2022年10月から、収入を3%程度(月額12,000円相当)引き上げるための処遇改善の仕組みとして、「看護職員処遇改善評価料」が新設されました。

「看護職員処遇改善評価料」の対象医療機関は、「看護職員等処遇改善事業補助金」と同様に、次のいずれかに該当することとなっています。
- 救急医療管理加算に係る届出を行っている保険医療機関であって、救急搬送件数が年間で200件以上であること。
- 「救急医療対策事業実施要綱」(昭和52年7月6日 医発第692号)に定める第3「救命救急センター」、第4「高度救命救急センター」又は第5「小児救命救急センター」を設置している保険医療機関であること。
看護職員の処遇改善はされていますが、まだまだ限られた医療機関のみですね。
国家公務員医療職俸給表(三)改正
令和4年12月9日に厚生労働省より通知があり、下記内容の処遇改善の推進がなされています。

いわゆる現場の中間管理職である、師長や専門・認定看護師の給与アップの話です。
<見直された内容>
- 管理的立場にある看護師(看護師長、副看護師長)
- 特に高度の知識経験に基づき困難な業務を処理する看護師の位置づけの明確化と処遇改善
<通知>
厚生労働省医政局長通知「看護師のキャリアアップに伴う処遇改善の推進について」
国立以外の医療機関等においても看護職員のキャリアアップに伴う処遇改善の推進を検討するよう要請あり。
石田まさひろ政策研究会より
看護師出身の参議院議員「石田まさひろ氏」の公式サイトによれば、
改正により、管理的立場にある看護師や、特に高度な知識経験に基づき困難な業務を行う看護師は、より高い職務の級への昇格が可能になります。
多くの病院の給与表は医療職俸給表(三)を参考にされていることが多いため、この改正をきっかけに、各病院も給与表の見直しに取り組むよう働きかけが必要です。
と、あります。

兵庫県の田舎にある一般病院に勤める看護師主任ですが、今のところ現場は給与の見直しに関する話は出ていません。
参考資料:日本看護協会公式HP、石田まさひろ政策研究会公式HP
看護職員の賃金制度見直しの課題
日本看護協会を中心に、看護職員の賃金制度の見直しについて活動がされていました。
今のところは限られた範囲での賃金アップがされている状況です。
私も日本看護協会の会員として、賃金制度の見直し活動を心から応援しています。

賃金制度の見直しの課題はたくさんありますが、私たち看護師もときには声を大にして働きかけていかないといけませんね。
看護職員の賃金制度見直しの課題
- 全ての年齢層にわたる基本給の引上げ(ベースアップ)
- 業務負担の大きい若手中堅層の基本給の重点的引上げ
- 高度な専門性を持つ看護師(専門・認定・特定行為研修修了者)の処遇改善
- 看護管理者、特に中間管理者の処遇改善
- 夜勤負担が大きい職員の処遇改善
- 割増賃金の適正な支給(法令にのっとった労働時間管理による)
参考資料:日本看護協会 看護職員の処遇改善に向けて~看護管理者の皆さまへ~
看護師の給料って上がりにくいって本当?理由を深掘りしてみた
看護師の給料が上がりにくいのは本当です。
確かに新卒のころは基本給に加え、職務手当や夜勤手当が加わると、他職種の同世代と比べ頭ひとつ抜け出した給料がもらえていたのかもしれません。

しかし、給料はいつしか横ばいとなり、果ては他職種に追い抜かれて、ハードな業務の割に給料が低いという「割に合わない環境」が出来上がっている。
いったいなぜこんなことになってしまうのか?
私なりに理由を深掘りしてみました。
子育て中の看護師が「退職」してしまう
看護師は、女性が多く結婚や出産を機会に看護師の現場からいったん退く場合が多いです。
看護師の退職理由は
- 「出産・育児のため」(22.1%)
- 「その他」(19.7%)
- 「結婚のため」(17.7%)
参考資料:厚生労働省 看護職員就業状況等実態調査結果[資料2]
「出産・育児のため」(22.1%)が最も多く、次いで「その他」(19.7%)、「結婚のため」(17.7%)となっています。
特に「出産→子育て」によって、多忙すぎる職場では仕事を続けられないのが現状です。
結果、大きな病院では職員の年齢階層が、卒後すぐの若手看護師とベテラン看護師で構成されることが多いです。
20代後半〜40代の子育て中の看護師がごっそりいないのが、子育てのしにくさを物語っています。
職場 | 歓迎する年代 | 特徴 |
急性期病院 | 20代~30代 | 長時間労働や夜勤も多いため、体力があり業務スピードにも対応できる若い世代が多い。 |
大学病院 | 20代後半~30代 | 大学病院での退職者が多い層(20代後半〜30代)の人手が不足する傾向にある。 |
大学病院や総合病院では、救急搬送や重症患者、手術件数も多いです。
かなりの激務で、あまり年齢の高い看護師や、子育て中の看護師ママでは勤めきれない可能性があります。
すると、大きな病院では新人看護師か、ベテランの管理職しかいない状況になるのです。
自分の目で見た悲惨な現状とは
大学病院に新卒で勤務したとき、その現状を目の当たりにしました。

30〜40代の子育て世代の看護師がほとんどいないのです。
20代スタッフの次は30代後半の主任、50代の師長となり、自然と看護師の平均給与は低くなります。
20代のスタッフが結婚と出産を理由に、給料が上がっていく前にどんどん辞めていく環境なのです。
辞めていく環境をなんとかしなければなりません。

大学病院などでは、看護師が辞めても、若い新卒の看護師がどんどん入ってくるので、看護師の使い捨て感がハンパないですね。
子育て中の看護師が「非常勤」を選択しやすい
子育てと仕事の両立のため、ママナースは非常勤(パート)になって仕事の負担を減らし、ワークライフバランスを取らなければならないのも給料が上がらない理由の1つだと推察します。
厚生労働省の調査(有効回答数 20,388人)によれば、看護師の雇用形態は 「正社員」 (82.4%)が最も多く、次いで「パート・アルバイト」(11.8%)となっている。
さらに、「パート・アルバイト」の内訳を見てみると、
- 「25歳未満」で 1.4%
- 「25~29歳」で5.1%
- 「30~34歳」で10.0%
- 「40~44歳」では18.5%
参考資料:厚生労働省 看護職員就業状況等実態調査結果[資料2]
「25歳未満」で 1.4%、「25~29歳」で5.1%であるのに対し、子育て中の「30~34歳」で10.0%となり、「40~44歳」では18.5%とより増加している現状です。
パートの時給が上がっていくことは、珍しいのではないでしょうか?
「どんどんと時給が上がっていくのよ〜。」
なんて聞いたことがありません。
私は国の政策による賃金アップももちろん必要なことだと考えています。
しかし、賃金アップと同時に、結婚や出産をしても、若いパワフルな「子育て中の看護師が辞めないで済む働き方改革」が重要だと考えます。

現状では、看護師の給料は上がりにくいのではなく、上がら(れ)ないようなシステムになっていると解釈すべきでしょう。
子育てと並行して無理なくしっかり稼ぎたいと思っている方はたくさんいるはずです。
もっと自由な働き方でも正社員が保証される、根本からの改善が必要とされています。
近年は常勤(短時間勤務)が増加傾向
2022年に報告の日本看護協会の調査(有効回答数5,121人)でも、看護職員の勤務形態が示されており、20ー29歳では、
20ー29歳の常勤(フルタイム)は86.5%、常勤(短時間勤務)2.0%、非常勤(パート、アルバイトなど)1.9%、産休・育休6.5%となっています。
一方、30ー39歳では、
30ー39歳の常勤(フルタイム)は73.0%、常勤(短時間勤務)10.3%、非常勤(パート、アルバイトなど)4.4%、産休・育休9.9%でした。
20代看護職員の常勤(短時間勤務)+非常勤=3.9%とくらべ、30代看護職員の常勤(短時間勤務)+非常勤=14.7%と増加しており、看護職員の平均給料が低くなる理由を裏づけていると考えます。

しかし、およそ10年前の厚労省データと比べ、常勤(短時間勤務)の割合が増えています。
そもそも対象数が異なり単純に比較ができないことと、
データに偏りがある可能性もあり断定はできませんが、短時間勤務などの子育て支援制度の推進が成果として現れてきているのかもしれません。
病院の中で看護師の数が圧倒的に多い
病院経営では、人件費が大幅なウエイトを占めます。
中でも看護師は、他の職種に比べ圧倒的に数が多いです。
病院の職種別にみた100床当たり「常勤換算従事者数」で示すと、
- 「医師」は14.1人
- 「看護師」は52.3人
- 「准看護師」は7.4人
- 「薬剤師」は3.2人
- 「診療放射線技師」は2.9人
- 「臨床検査技師」は3.6人
と、「看護師・准看護師」の数は、医師のおよそ4倍、他コメディカルと比べれば、およそ20倍になっている。

看護師を高給与で高待遇にした場合、病院の経営を圧迫するほどの人件費になることは必然です。
ある程度の額に抑えておく必要があり、他の職種に比べ看護師の給料が上がりにくい要因ではないかと考えます。
役職が少ない
看護師の昇給がむずかしい原因として、「役職が少ないこと」が挙げられます。
それにともなう手当がなくなるため、他職種よりも給料が上がりにくいのです。
一般の企業では、
- 一般社員、主任、係長
- 課長、次長、部長、本部長
- 常務取締役、専務取締役、代表取締役社長など
さまざまな役職が存在し、昇給の機会もおのずと多くなります。

一方、看護師の役職は、基本的に「看護主任」、「看護師長」、「看護部長」の3つです。
一般的な企業と比べると役職は少ないのが一目瞭然。
しかも看護師数は多いということもあって、昇給する機会が少ないため給料が上がらないのです。
資格手当がほとんどつかない
看護師にも専門看護師や認定看護師といった専門分野のプロフェッショナル資格があります。
しかし、日本看護協会が調査した専門看護師と認定看護師の処遇によれば、資格取得が処遇に結びついていないと回答した者がなんと8割以上を超えていました。
しかも資格手当は、すべての医療機関で支給されているわけではなく、

専門看護師・認定看護師の過半数が「資格手当がない」と回答しています。
時間をかけ、努力して取得した資格でも「仕事に対して給料が割に合わない」を体現していると言えるでしょう。
給料が上がりにくいわけですね。
参考資料:日本看護協会「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書
看護師の賃上げに関するQ&A

看護師の賃上げに関する質問にカンタンにお答えします。
看護師の処遇改善で手当はいつから増えますか?
2023年現在、看護師の処遇が改善されているのは一部の病院や施設に限られ、全看護師の処遇が改善されているわけではありません。
該当する施設かどうかを確認してください。
看護師の給料が上がらない理由を教えてください。
看護師の給料が上がらない大きな理由の1つに、子育て中の看護師がワークライフバランスのため「非常勤」を選択しやすいからではないかと推察されます。
今後、看護師の給料は上がっていきますか?
日本看護協会を中心に、看護師の給料アップについて活動がされていますが、絶対に上がっていくという断定はできません。
「看護師の給料を上げてほしい!ママナースの給料をアップさせる方法を伝授」まとめ
本記事では、給料を上げてほしいと願うママナースへ「給料をアップさせる方法」を紹介しました。
本記事を読めば、給料をアップさせる具体的な方法がわかりパッと実行できます。
「2023年現在の看護師給料の賃上げ情報」や、「看護師の給料はなぜ上がりにくいのか?」についても随時把握しておきながら、自分の給料アップへつなげていきましょう。