子育て中の看護師が「子育てのために望んでいる職場」ってどんな環境だろう?
と考えると、
- 残業がない
- 急な休みが取りやすい
- 日勤のみの職場
といった項目が、主なものとして挙げられますよね。
特に「残業がない」は、子育てをするには必須です。
本記事は、子育てや家族との時間を大切にしたいけれど、できなくて悩んでいる看護師さんへ、
「子育て中の看護師」の転職先としてオススメの精神科「認知症病棟」のメリット・デメリットについて紹介します。
本記事を読むと、精神科「認知症病棟」が、なぜ子育て中の看護師にピッタリの転職先かがわかるでしょう。
精神科「認知症専門病院」の看護師長をしている私が、実際の様子をお伝えしますね。
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【精神科】認知症病棟へ転職するメリット
精神科「認知症病棟」へ転職するメリットはこちらです。
- 高度な医療技術がいらない
- 残業がほとんどない
- 入院受けの負担が少ない
- 患者の家族からプレッシャーが少ない
- 患者との人間関係にあまり悩まない
- コロナ禍のような感染症でも最前線になりにくい
高度な医療技術がいらない
たとえば、ロボット技術を活用した「低侵襲性手術の介助」、専門性の高い「人口呼吸器」や「透析機器」などの使用技術といった、高度な医療技術はいりません。
- バイタルの測定
- 静脈注射・採血
- 食事介助
- オムツ交換
- etc
のような、一般的な看護技術があれば十分。
最初は、「知識を持っている」というだけで大丈夫です。
「看護師のブランクがある」とか、「看護学校を卒業したばかり」という看護技術に自信のない方でも心配いりません。
看護技術など、1年もしていればすぐに身につきます(経験者より)。
今からおよそ10年前、わたしは「看護師1年→保健師3年→大学教員5年」という経歴から、認知症の現場へ参入。
看護技術には、ブランクありまくりでした。
残業がほとんどない
残業は、本当にほとんどありません。
嘘ではないです。
わたしは「子育て・家族・自分時間の優先」をかかげていますので、「残業はしない!」と職場でも明言しています。
スタッフも17時の終業時間とともに、蜘蛛の子をちらすように帰っていきますね(笑)。
現在、当院はマンパワー不足であえいでいますが、それでも”残業なし”をつらぬき通しています。
主任時代から率先して、「今日も17時ピッタリに帰るよ〜♪」と、スタッフみんなに声かけをしていました。
その方がみんな「時間内に仕事を済ませて帰ろう!」となって、仕事への意欲も高まり、効率よくやってくれる気がします♪
入院受けの負担が少ない
今日、入院があるとなると、一般の病棟ではプラスアルファの仕事になり、看護師も負担に感じることも多いですよね。
それと比較すると、(当院)認知症病棟の入院受けの負担はかなり少ないです。
入院時の検査は採血とCT程度。
施設によってまちまちかもしれませんが、基本的に入院外来でそれらを済ませます。
病棟の入院受け担当の看護師は、
- バイタルサイン測定
- 食事・排泄の状態
- 内服・点滴の状況
- 実際に関わったときの認知症の程度やADL
を確認・観察して、その日のリーダーナースへ報告するだけ。
これも施設によって多少のちがいがあるかもしれません。
それでも一般的な総合病院の入院受けとくらべ、求められるスピードもゆっくりで、むずかしい作業もないため気持ちが楽です。
しかも、当院では、入院受け担当の看護師は「その日、入院受けの仕事だけすれば良い。」という何ともラッキーな待遇。
じっくり入院患者さんと関われます。
患者の家族からプレッシャーが少ない
これは認知症病棟の特徴かもしれません。
一般の病院だと、治療して心と体が健康になって、自宅や社会へ復帰することが前提となっています。
そのため家族も、入院する本人(患者)が元気になって戻ってくる、と期待して関わってきます。
「患者が元気になるのが当たり前」ということは、ミスできない看護師へのプレッシャーは、かなり負担になるのです。
その点でみれば、認知症病棟に入院を希望する家族の気持ちは、少しちがってきます。
もちろん、「元気になって社会(日常)生活へ復帰できたら」という思いを持っている家族もいるでしょう。
私たちも全力で応えられるよう、ケアに努めています。
しかし、その反対に「もうこの病院でずっと看てください。」というケースも少なからずあるんです。
姑を看る嫁
たとえば、自分とは血のつながりがない姑を看る長男のお嫁さん。
献身につとめても、認知症の症状から毎日のように暴言・暴力をあびせられ、昼夜逆転もあって夜も眠れない。
身も心もボロボロになった状態で、藁をもつかむ気持ちで当院に来られるのです。
「(患者を)入院させてくれるだけでも(自分が)救われます。」
と疲れきった声をふりしぼる。
といったことが現実にあるのです。
その他にも、家族関係にいろいろあって、今後いっさい(患者本人の病状報告など)連絡はいりません。
という、シビアな家族もいます。
また、家族の多くは高齢の患者に対して、本人が苦しまないように認知症病棟での過剰な医療を望んでおらず、自然な看取り(最期)を希望されます。
ですから、看護師も家族からの過度なプレッシャーに気負うことなく、心に余裕をもって「その人がその人らしく生きる看護」が続けられるのです。
患者との人間関係にあまり悩まない
家族からのプレッシャーが少ないに関連しますが、患者との関係にも良い意味でほとんど悩みません。
たとえば一般病院だと、
「あの人(患者)は気むずかしいな〜、どうやって声かけしよう。」
「伝え方が良くなくて気をわるくさせちゃったかな、明日から話すのが憂鬱だ〜。」
なんて考えたりすることがありますよね。
これが認知症患者の場合だと、いい意味でそういった”気がね”がありません。
妄想症状があって、うちのスタッフに対して、「ここの職員は誰も私にあいさつをしてくれない!」と烈火のごとく怒って責めてくる患者がいます。
しかし変な話、数分後には、何ごともなかったかのように接してくれます。
また、「コレはわたしの食器(※病院の食器です)だから返しません!」
と、ゴネていた患者も、すこし距離をおいて、数分後に行くとあっさり返してくれるなんてザラです。
そのときは何かの違いでうまく対応できなかったとしても、いつもすべてがリセットされてゼロから対応できることが多いんです。
患者との人間関係が、少なからず負担と感じている看護師には、コレもメリットだなと感じています。
もちろん言うまでもありませんが、患者はすべて忘れるから、といって優しさのない行動をとることは”もってのほか”です。
コロナ禍のような感染症でも最前線になりにくい
コロナのような、未知の感染症をケアする”最前線の場”になりにくいです。
大学病院や総合病院で勤務する場合、未知の感染症の治療にあたる”最前線”に自分の身が置かれてしまう可能性、これは決してゼロではありません。
しかし、認知症病棟のある精神科(単科)の病院であれば、自分の勤めている施設でなんらかの感染症が発生しないかぎり、看護師への感染リスクは少ないと言えるでしょう。
病院につとめる者としては、少しだけ不安が軽くなりますよね。
「自分の命に危険がおよぶかもしれない。」
という状態では、たとえ看護師といえど働くのが怖いですもんね。
しかしながら、認知症病棟も医療の現場なので、感染症がまん延しないわけではありません。
施設で集団発生(以下:クラスター)が起きうる可能性は十分あります。
「最前線になりにくい」と表現しているように、あくまでも感染初期の未知の状態で相対することが少ない。
という意味です。
認知症専門病院でも起こった!新型コロナウイルスによるクラスター
実際に、当院でも新型コロナウイルスによるクラスターが発生しました。
もともとマンパワー不足の医療現場に輪をかけて、スタッフもバタバタとコロナに感染。
さらにマンパワー不足が加速です。
現場が回らないため、(別病棟の)わたしに応援要請があってコロナ病棟へ足を踏み入れました。
夏に長袖のビニールエプロンを着用し、二重マスクの上にシールドマスクを装着して看護をします。
エプロンやマスク、手袋、アルコール消毒といった物品は、取っ替え引っ替えつかうので、何箱あってもいいと思ったくらい悲惨な状況でした。
痰があふれる患者から吸引するものなら、患者のセキの飛沫に思いっきり暴露します。
わたしの長男が、ちょうどその時期に小学校の課外宿泊学習(自然の家)があったので、何としてもかかるまい!
と気迫で看護していました。
わたしが感染すれば、長男の思い出を奪ってしまいますから。
数十人の患者を2、3名のスタッフで看護・介護する現状(本来なら病棟に最低8名程度のスタッフがいる)で、自分がコロナに感染するのも地獄、コロナに感染しないのも地獄といった状態でした。
無事、コロナが終息して解除がされたとき、当事者病棟の看護主任さんから
「30名近いスタッフ内のわずか数名がコロナに感染していなかったね。」
と知らされます。
その中の1人に入っていました(笑)。
万が一、新型の感染症が蔓延したとしても、認知症病棟で流行るころには、すでにウイルスへの何らかの対応方法が確立されているはずです。
とは言ったものの、あくまでも”新型感染症の最前線になりにくい”という所を強調しておきますね。
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【精神科】認知症病棟へ転職のデメリット
デメリットも紹介します。
- スタッフの年齢層が高い
- 身体的な負担がある
- 認知症患者の対応のストレスがある
- 患者の体調不良に気がつきにくい
- 高度な医療技術が学べない
スタッフの年齢層が高い
コレはれっきとした事実です。
日本の近い将来に、認知症患者が激増していくにも関わらず、認知症看護の分野で「若い世代が育っていないこと」はデメリットだと言えるでしょう。
「若いパワーであふれた職場で働きたい!」と希望のある方は、認知症看護の現場へくるとビックリしてしまうかもしれません。
入職当時、33歳だったわたしがすでに43歳。
にもかかわらず、職場では「ほら、師長さんは若いから♪」と謎の若手あつかいです(笑)。
というのも、今の職場は50代から70代がおよそ6〜7割で、20代から40代が3〜4割です。
50代から70代が多い状況は、当院の他の病棟もあまり変わらずで、世間でいう老老介護という状態です。
ただ、昨今の50代から70代はめっちゃ元気。
病棟でもわいわいと働いています。
しかし、50代から70代の世代がごそっと抜けてしまうときが、いずれやってきます。
その穴を埋められるように、今から施設側としては対策を練っておく必要があります。
身体的な負担がある
高齢者の看護ということもあり、寝たきりの患者も多くなっています。
数十名の患者の入浴介助やオムツ交換は、介助する看護師のヒジやヒザの関節や腰に、ものすごい負担となっているのです。
「数日だけ行えば良い」というのではありませんからね。
1年365日「”朝夕と夜間早朝”の4回のオムツ交換」に、定期的な曜日の入浴介助。
わたしと同期に入った50代の看護師さんは、ヒジにサポーター、腰にコルセットをまいて、見た目は満身創痍でがんばっています。
当時、「主任さん、ヒザが悪いから入浴介助を外してくれませんか?」
と相談にくる看護師も1人や2人じゃありませんから(泣)。
元気そうな看護師や介護士にそのしわ寄せがいって、みんなが体の健康をすり減らしている状況です。。。
高度な医療・看護技術は必要ありませんが、単純な力仕事が多くなっています。
いかに負担なく看護ケアが行えるかを、病棟リハビリと協力して考え、スタッフみんなを守っていきます!
認知症患者の対応のストレスがある
認知症という疾患をケアしている以上、看護師の心身に負担があるのは仕方がないことなのかもしれません。
認知機能の低下は「こちらが言っていることが理解されない」ということ。
- 食べて欲しいときに食べてくれない
- お風呂に入って欲しいのに嫌がる
- 寝てほしいのにまったく眠ってくれない
- 安静に点滴してほしいのにしてくれない
- 静かにして欲しいのに大声で叫びつづける
といった患者も少なからずいます。
患者は自分の生活リズムがありますから、看護師の都合どおりにいかないのは当たり前で。
看護師としては「患者の意志を尊重してあげたい!」という気持ちがあります。
ですが、「業務を時間内にこなしていかなければならない。」というジレンマを抱えているんです。
認知症患者さんと関わるのは、すごくストレスになりそうだなぁ。
と思う方もいるでしょう。
ただ、まちがって理解してほしくないのは、認知症だからといって全患者が「暴れたり、叫んだり、抵抗ばかりする」というのは間違いで、認知症でも穏やかに過ごされている方もたくさんいます。
認知症といっても、症状の出方は人によってさまざまなのです。
ですから、認知症という病気を勉強して、しっかりと理解する。
日々患者の様子に合わせて、適切なスキルをもちいて応対をし、過度なストレスにならないように関わっていく必要があります。
患者の体調不良に気がつきにくい
もし認知症でない人なら、熱がでれば
しんどくて、頭が痛いの。
お腹の調子が悪ければ、
さっきからお腹の調子が悪いんだよ。
ギュルギュルとなって。朝の牛乳のせいかな。
といったように、自分の言葉で伝えられますよね。
しかし、認知症患者の多くは、たとえ体調が悪かったとしても、自分から痛い、しんどい、辛い、苦しい、といった訴えをしてくれません。
認知症ではない人ならすぐに対応できる病気にも、1歩も2歩も遅れての対応になる場合があります。
「もっと早くに気づいてあげられていたら。」
なんて思うこともしばしば。
ですから、認知症病棟の看護師には必須の能力「あれ?おかしいぞ」が重要になってくるんです。
必須の能力「あれ?おかしいぞ」とは、今日の患者さんは「いつもと何かちがう」という感覚です。
毎日患者と関わっているからこそ、ほんの些細な”ちがい”に気がつくことができるのは看護師だけ。
日々の丁寧な関わりが、この能力を成長させます。
患者からの無言のSOSに、できるだけ早くに対応できるように、毎日の関わりを大切にしたいですね。
高度な医療技術が学べない
認知症病棟で働くうえで看護師のメリットであったはずの「高度な医療技術がいらない」は、反対にデメリットにもなります。
認知症に関する知識やテクニックはどんどん手に入るのですが、それ以外の高度な医療技術に関する能力アップは正直見込めません。
わたしの勤める施設を例としていうと、認知症の現場で実施されている医療技術は、
- 口から物を食べられなくなった患者の「中心静脈栄養の管理」
- 「肺炎の治療」
までで、これ以上の高度なケアは行っていません。
人工呼吸器の使用、輸血、透析、手術といった高度な医療は、他施設での提供となります。
- 認知症に特化した看護師になってレベルアップしたい
- 慢性期看護が自分には合っている
という方はウェルカムですが、
「高度な医療技術を学んでキャリアアップしたい!」という方には物足りないです。
もちろん、一般の看護師として身につけておきたい、
- バイタルサイン測定
- 採血
- 静脈注射
- 皮下注射・筋肉注射
- 吸引
- 導尿
- 尿道カテーテルの留置
といった基礎スキルは日々の仕事で行われるので、「看護師スキルがなまって仕方がない。」なんてことにはなりませんので、ご安心ください。
「子育て世代看護師が働きやすい転職先!認知症病棟のメリット・デメリット」まとめ
認知症病棟のメリット・デメリットはいかがでしたでしょうか?
デメリットについても包み隠さずお話ししましたが、それを上回るメリットが認知症病棟にはあります。
残業がほとんどないのは、本当に子育て中の看護師としてはありがたいです。
たとえば、
- 夕方に帰宅して
- 小学生の子どもたちの音読を聴いて
- 一緒にお風呂に入って、一緒に夕飯を食べる
これだけでも、すごく大切な時間を過ごせていると感じています。
わたしは男性なので、「早く帰ってきてくれるだけで、気持ちの負担がちがうわ。」と妻から言ってもらえます。
日本は、より高齢社会になるので、ますます需要が高くなる「認知症の現場」。
経験しておいて損はなしです。
「子育て中の看護師が働きやすい転職先のひとつ」として頭の片隅に置いておいてくださいね。
ではまた♪
子育てしやすい職場へ転職「ナースではたらこ」
業界最大級!看護師人材紹介「満足度No.1」
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